こんにちは。「自然に寄せたくらし」がコンセプトのネイチャライズです。
木材の耐久性を調べる方法の1つに、「野外杭試験」(やがいくいしけん)というものがあります。これは杭を地面に埋め、時間が経つにつれてどのくらい腐ったり朽ちたりするかを調べるというものです。
東京都八王子市の旧浅川実験林でおこなわれたヒバの心材の野外杭試験では、耐久年数7.0年という結果になりました。心材とは木の中心に近い部分からとれる木材ですが、7.0年というのは5段階中2番目に高い耐久性で、ヒノキやケヤキなども同じ枠にあります。ちなみに最も耐久性が高い、1番目に該当する木材はありません。
※画像は公益社団法人 日本木材保存協会のホームページより引用
また、シロアリが生息する奈良県の明日香実験林でも野外杭試験がおこなわれ、ヒバ心材の耐久年数は10年という結果になりました。スギやヒノキの試験も別のタイミングでおこなわれていて、スギ心材は3.9年、ヒノキ心材は4.6年という結果となりました。
試験条件が全く同じではないため単純比較はできませんが、それでもスギやヒノキの倍以上もの耐久年数があったというのは注目に値するのではないでしょうか。
実際にヒバの耐久性をよく示している場所が、青森にあります。それが「猿ヶ森ヒバ埋没林」です。
南北約17kmにわたって広がる「猿ヶ森砂丘」のほど近くにある猿ヶ森ヒバ埋没林には、猿ヶ森砂丘から飛んできた砂によって立ち枯れてしまったヒバが点在しています。
※画像は一般社団法人 東北観光推進機構のホームページより引用
なんとこの枯れたヒバは、いまから1000年〜800年も昔のものということがわかっています。時代でいえば鎌倉時代あたりになりますが、その頃に枯れたヒバが横たわることなく、そして朽ちることなく立ったままであるというのは、ヒバの耐久性を物語るのに十分といえるでしょう。
ちなみに余談ですが、猿ヶ森砂丘は防衛省の管轄のため一般の人の立ち入りは禁止されていますが、鳥取砂丘と並ぶほど広い砂丘として知られています。
出典:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所、東北森林管理局