いつも使う精油に、驚くべきパワーが秘められていたらどうでしょう。今回は日本の固有種であるヒバの木から抽出したヒバ精油の、興味深い研究結果をご紹介します。
▉ヒバ精油が、がん細胞の自然死を招く?
まるで深い森の中にいるような、爽やかな香りで知られているヒバ精油ですが、その香りに含まれる成分が近年、医療の分野で大きな注目を集めています。
富山大学のある研究チームは、胃がん、食道がん、大腸がん、乳がんの細胞株に、ヒバ精油を反応させるという実験を2017年から2019年にかけておこないました。
その結果、なんとがん細胞のアポトーシス(自然死)を誘導することが確認されたのです。
▉がん細胞の転移を抑えることも明らかに
さらに、胃がん細胞を投与したマウスにヒバ精油の香りを吸入させた別の実験では、何も吸入させていないグループと比較して、腹膜へのがん転移が大きく抑制されました。
香りを吸い込むという非常にシンプルなアプローチでありながら、がん細胞の転移に対し、目覚ましい結果を示したのです。
▉ヒバ精油の主成分「ツヨプセン」がパワーを発揮
ヒバ精油のどの成分が、この効果をもたらしているのか。研究チームが突き止めていったところ浮かび上がったのが、約60%と高い割合で含まれているヒバ精油の主成分、「ツヨプセン(Thujopsene)」でした。
がん細胞は通常、大量のエネルギーを得るために「解糖系」(かいとうけい)という代謝経路を活発に利用していますが、がん細胞内にある「PKM2」というタンパク質とツヨプセンが結合することで、その代謝経路をブロック。それによってがん細胞のエネルギー産生が抑えられ、アポトーシスへと導かれることが判明しました。
▉安全性の高さと取り入れやすさに注目
今回の研究成果が特に画期的とされる理由は、「安全性の高さ」と「取り入れやすさ」にあります。
一般的に薬や抗がん剤には強い副作用がつきものですが、ヒバ精油はリラクゼーションや消臭の目的で使用されている、天然由来のアイテムです。目立った副作用を示すことなく、香りを嗅ぐことによってアプローチできる点は、大きなメリットになると言えるでしょう。
実際に研究報告書の考察でも、以下のようにまとめられています。
「アスナロ精油(=ヒバ精油の正式名称)には、がん細胞の増殖を抑制する作用があり、高齢者や抗がん剤が使用困難な高リスク患者に対して、新しい治療法となる可能性がある。
アスナロ精油は明らかな副作用を示さず、芳香剤として一般的に用いられていることから、新しい機能を持った製品として実用化できる可能性が高い。」
▉日々のくらしに自然のめぐみを
エプソムソルトに混ぜてお風呂に入れたり、ディフューザーで焚いたりすれば、その爽やかな香りに癒やされるだけでなく、うれしい作用がほかにも期待できそうなヒバ精油。
日々のリフレッシュやリラックスの手段として、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
そしてせっかく取り入れるのであれば、自然由来100%のものを選びたいところ。「アロマオイル」と表記があるものには保存料や香料などの添加物が入っているのに対し、「精油」「エッセンシャルオイル」「ヒバ油100%」のように書かれているものは添加物が入っていない、純度100%のヒバ精油になりますので、選ぶ際の参考にしてみてください。
